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判決から読み解く税務会計 第17回 役員給与課税制度とその事例(その2)

青山学院大学大学院 教授 小林 裕明

( 84頁)

今回は、不相当に高額な役員給与の損金不算入(過大役員給与課税、 法法34 ②)の制度を取り上げます。過大な役員報酬、退職給与の支給については、過去から課税事例がありますが、前回で指摘した役員給与課税制度の改正とともに、課税のあり方自体が転機を迎えていると思われます。

今回は、特徴的といえる課税事例を挙げながら、過大役員給与課税のあり方を考察していきます。

1 過大役員給与課税制度の内容

(1) 制度の内容

法人から役員への給与の支給は、不相当に高額な部分について損金から除外する取扱いがなされています(法法34②)。この「不相当に高額」は、政令が定める「実質基準」と「形式基準」によって判断されます。実質基準...