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税金裁判の動向【今月のポイント】第204回 差押処分時に判明していなかった新たな事情に基づく不当性判断

香川大学法学部 教授 青木 丈

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納税者が審査請求をした場合、当該処分が違法でなく合法であるときであっても、不当であれば取り消されることが認められています。しかし、特に徴収関係では、そのような判断がされた公表裁決例はこれまでありませんでした。

ところが最近、差押処分に関して「本件処分後に判明した事情から当該普通預金債権が差押対象者ではなく、審査請求人に帰属すると判断されるに至った後にも、なお本件差押処分を維持することは差押対象者の財産を差し押さえるという法の趣旨・目的からして妥当ではないと言わざるを得ない」として、処分の不当性を認めた注目に値する裁決例が公表されました。そこで今回は、その内容をご紹介しましょう。

行政不服審査におけ...