※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです
民法改正(相続編)による税務への影響 第6回(最終回) 遺産分割前の預貯金等の払戻し制度、特別寄与料請求、自筆証書遺言の保管制度等
税理士 石橋 將年
( 68頁)
本稿では、第1~5回までに言及できていない主な内容についてQA形式で解説していきます。
(注)本文中、特に断りがない限り、改正後の条文番号で記載しています。
Q1 遺産分割前の預貯金等の払戻し制度
相続発生後、遺産分割前に、生活に必要な現金を銀行等から引き出せるようになったと聞きました。これについて教えてください。
A 各相続人は、単独で(他の相続人の同意なしで)、一定額(一つの金融機関で150万円まで)の預貯金を払い戻せることになりました。
(1)改正前の取扱い
被相続人の遺産のうち「預貯金」については、遺産分割の対象とはならず、法定相続分によって相続人に承継されるとされていました(昭和29年4月8日...