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判決から読み解く税務会計 第19回(最終回) 交際費等の課税事例

青山学院大学大学院 教授 小林 裕明

( 74頁)

今回は、交際費課税を取り上げます。交際費等は、事業関係者等との友好な関係を築くための支出と説明されますが、現実にはリベートや広告宣伝費など類似の目的で支出される費用があり、区別が曖昧となる事例が存在します。また、かかる隣接費用との区別を明らかにするための要件にも諸説があり、事例によって各要件の当てはめは区々となっています。

本稿では、交際費等の課税事例を題材に、交際費等の要件の検討や交際費課税の現代的意義について考察します。

1 交際費課税の趣旨・経緯

(1)交際費等の意義

交際費等は、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安...