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税金裁判の動向【今月のポイント】第217回 過払金返還債権の確定による過去に計上した益金の修正方法

 名城大学法学部教授 伊川 正樹

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消費者金融会社が過去に収受した「グレーゾーン金利」が平成18年の最高裁判決によって違法と判断されたことにより、返還しなければならなくなったことは周知のとおりです。会社側は、過去に益金として計上していた金額が過大に法人税を納付していたことになりますが、その場合の修正は、過去に遡って更正の請求が認められるのでしょうか。それとも当該年度において「前期損益修正」の方法によるべきなのでしょうか。

法人税法22条 4項の公正処理基準の解釈をめぐるこの問題について、今回は最高裁が示した判断についてみていきましょう。

事案の概要

消費者金融業等を目的とするA社は、平成7年度から同17年度まで(同11年度を除く。)の事...