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税金裁判の動向【今月のポイント】第220回 キャストの接客業務に対する対価にかかる給与所得該当性

青山学院大学法学部准 教授 道下 知子

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会社に対し役務の提供をして支払われた対価がどのような所得に該当するかについて、課税実務上問題となることがあります。現在、働く形態が多様化している中で、特に「給与所得か他の所得か」ということが、今後も引き続き問題となることが予想されます。

今回は、キャバレークラブ店に勤務しているキャストに対して支払われた接客業務にかかる対価が、給与所得に該当するか否かが争われた判決をご紹介しましょう。

事実の概要

X社(原告)は、スナック及びクラブの経営等を目的とし、長野県においてキャバレークラブ2店舗を経営する株式会社です。X社は、各店舗に勤務するキャスト(以下「本件キャスト」という。)に接客業務の対価として支給す...