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税金裁判の動向【今月のポイント】第224回 内国法人の非居住者からの借入れに対する過少資本税制の適用

立命館大学法学部 教授 望月 爾

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過少資本税制は、内国法人がその国外支配株主等から資金提供を受ける場合に、出資を少なくし過大な借入れを行うことにより支払利子の損金算入を図る租税回避を防止するための制度です。一般に国外の関連法人との間の資金調達において適用される制度といえますが、今回は同税制が投資ファンドを運営する非居住者個人からの借入れに対して適用された事例を紹介したいと思います。

事実の概要

X社(原告)は、有価証券の保有・運用・投資や、企業経営や財務のコンサルティング等を目的として設立された内国法人です。同社は、平成23年6月30日から同年7月4日までの間にAから、年利14.5%で合計164億円を借り入れ(以下「本件借入れ」と...