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税金裁判の動向【今月のポイント】第226回 従業員から外注先に変更になった作業員に対する報酬の給与所得該当性

 青山学院大学法学部准教授 道下 知子

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会社から雇用されている従業員が外注先に変更となった場合に、消費税法上の課税仕入れ該当性をめぐり、役務提供の形態が雇用か請負かという観点から、作業員に支出された金員が給与所得に該当するかの判断について、課税実務上問題となることがあります。

今回は、塗装工事業の従業員が外注先に変更となった期間に支払われた役務提供の対価が、給与所得に該当するか否かが争われた判決をご紹介しましょう。

事実の概要

X社は塗装工事業等を営む株式会社であり、塗装工事の受注の際は、雇用する従業員をその作業に従事させていましたが、人員が足りない場合には、外注先に依頼していました。

X社は、平成27年4月から健康保険及び厚生年金保険に加...