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税金裁判の動向【今月のポイント】第227回 販売目的で購入した中古の賃貸住宅用マンションの課税仕入れにおける用途区分(控訴審判決)

 立命館大学法学部教授 安井 栄二

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事業者が中古の賃貸住宅用マンションを投資家に転売する事業を営む場合、その一部又は全部が住宅としてすでに貸し付けられているマンションを仕入れるため、そのマンションを転売するまでの間、賃料を収受することになります。そうすると、消費税法上、このマンション取得についての課税仕入れの用途区分が問題となります。

この点が争われた事案について、本連載(第215回、2021年1月号)で、東京地判の内容を紹介しました。東京地裁は、当該マンション取得についての課税仕入れは、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に当たると判断しました。ところが、その控訴審において、原審の判断を覆す判示がされました。今回は、この事案につ...