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相続前にチェックしておきたい 近隣とのトラブルの法務と対応 第3回 土地の境界線に関するトラブル(後編)
弁護士 松浦 絢子
( 84頁)
隣地所有者とトラブルになるのは、第2回で解説した境界線の決め方だけではありません。とくに、敷地が狭い都市部の宅地では、工作物や建物、樹木などが境界線を越えて自分の敷地内に越境してくることがあります。
建物が越境している場合には、そのまま放置しておくとその建物の下の土地を隣地所有者に時効取得されてしまうリスクがあります。そうなると、本来であれば相続人に引き継ぐことのできたはずの土地が想定どおりに引き継げなくなってしまいます。
一方、樹木の枝などが空中で越境している場合には、土地を時効取得されることは基本的にはありません。しかし、落ち葉の掃除費用の負担などをめぐって隣地所有者とトラブルになることがあり...