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税理士が顧客に説明したい財務分析 第10回 損益分岐点分析

 公認会計士・税理士 久保 直生
 公認会計士・税理士 髙木 伸浩

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今回は、損益分岐点を用いた分析について解説します。損益分岐点の計算方法について計算事例を用いて説明し、有価証券報告書による損益分岐点分析を確認します。さらに、損益分岐点の改善方法も取り上げます。

1. 損益分岐点分析

損益分岐点とは、費用の額と収益の額が等しくなるときの売上高(販売数量)を指します。したがって、損益分岐点を超える売上高があれば利益が生じ、下回る売上高ならば損失が生じます。

損益分岐点の売上高では、売上高と総費用が一致することとなります。この総費用は、固定費と変動費に分けられます。固定費とは、売上高の増減に関係なく、一定金額発生する費用をいい、変動費は、売上高の増減に比例して発生する費...