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実務に活かす「行動経済学」第1回 「行動経済学」とはどのようなものか
明治大学 情報コミュニケーション学部 専任講師 後藤 晶
( 84頁)
はじめに
日常の取引において「なんでこんな不合理な選択をするのか」、「冷静に考えればこちらの方が得なのに」などの不思議な状況に遭遇することがあります。これは一見、「不合理である」ように感じられるかもしれません。しかし、あくまでも不合理であるのは一側面からであり、また異なった側面からみたら合理的であったりします(もちろん、全くデタラメであることもありますが)。
そんな不思議な人間の意思決定の特徴について研究したり、そんな意思決定の特徴が経済社会に与える影響を分析したりする学問が「行動経済学」です。
この連載では、実務に活かす行動経済学をテーマとして、表現や直感に惑わされる意思決定や、人間の利益・損失の...