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特集1 財産評価基本通達6項を巡る最高裁判決の意義

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁

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はじめに

令和4年4月19日、最高裁から注目すべき判決が示されました。

本件は、相続税申告にあたり、一棟買いをした事業用資産について路線価等により評価額を算定した納税者に対して、課税庁は行き過ぎた節税として 財産評価基本通達6項 を適用して否認した事件です。地裁、高裁ともに納税者は敗訴しましたが、最高裁が口頭弁論を開いたことから、新たな判断を行うのではないかと注目を集めました。

しかし、結果として最高裁においても下級審と同様の判断を行い、課税庁サイドの行き過ぎた節税の是正措置を支持した形となりました。

そこで、本稿では、財産評価基本通達6項とはどのようなものなのか、課税庁ではどのような基準でこれを適用した...