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税金裁判の動向【今月のポイント】第236回 国際的組織再編に伴う支払利息の損金算入への法人税法132条の適用

立命館大学法学部 教授 望月 爾

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本年4月21日、 法人税法132条 1項の適用により、国際的組織再編に伴う海外のグループ法人への支払利息の損金算入が否認された事案(ユニバーサルミュージック事件)の最高裁判決が下されました。本件は、第一審( 本誌2019年10月号 参照)及び控訴審( 本誌2021年4月号 参照)において、同項の不当性要件をめぐって異なる判断の枠組みが示されて注目されていました。今回はその最高裁判決について紹介します。

事実の概要

X社(原告・被控訴人・被上告人)は、音楽事業を目的とする日本法人(合同会社)で、国際的な企業グループを形成するフランス法人V社の間接的な完全子会社であって、法人税法(以下「法」と略称します。)2条1...