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税金裁判の動向【今月のポイント】第237回 事業用買換資産の特例の「適用を受けた者」の意義

広島修道大学法学部 教授 奥谷 健

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租税特別措置法37条 では、事業用資産の買換えについて課税の繰延べを定めています。他方で、 37条の3 ではその適用を受けた場合に、取得価額を引き下げる対応がとられています。

これらの規定について、 37条 の適用があると誤って申告したままで、その後に特例の適用がないことが発覚した場合、修正申告書の提出や更正処分がされていない状況では、その「適用を受けた者」として扱われるのでしょうか。今回はこの点が問題になった事例について紹介します。

事実の概要

原告の父(以下「本件父」という。)は、昭和59年12月、その父(以下「本件祖父」という。)からの贈与(以下「本件贈与」という。)により、事業の用に供していた土地(以...