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特集2 不動産鑑定評価額による相続税申告の可否の実際

 税理士・不動産鑑定士 井上 幹康

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はじめに

相続税申告においては、財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)に基づき財産の評価を行うのが基本です。しかし、高収益物件やタワーマンションを用いた相続税の節税スキーム事案に対して、国税庁が 評価通達6項 を用いて通達評価額を上回る不動産鑑定評価額で評価することがあります。では逆に、納税者が通達評価額を下回る不動産鑑定評価額により相続税申告を行うことは認められるのでしょうか。認められるためには具体的にどのような要件を満たす必要があるのでしょうか。

今回は、こうした疑問にこたえるべく、築古の低収益物件や空き家の事例を題材として取り上げたうえで、過去の裁決例や裁判例を踏まえて解説していきます。

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