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所得税(申告所得) 信託と税制-3

 税理士 増渕 実

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今回も、引き続き信託と税制(所得税関係)について取り上げます。

Q1 受益者等課税信託における他益信託(委託者≠受益者)の課税関係

私の父Aは、Aが所有する賃貸不動産の管理・運用について、障害者である長男Bの将来の生活の安定と療養費の確保のために、Bを受益者、私(長女C)を受託者とする信託契約を設定しようと考えています。

この場合の課税関係はどのようになるのでしょうか。

 A1 

信託の効力発生時において、受益者が委託者と異なる信託を他益信託といい、その課税関係は次のとおりです。

1 信託設定時の課税関係

(1)委託者(父A)

信託の設定時(効力の発生時)において、Aに課税関係は生じません( 所法13 ①)。

ただし、...