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事例からみる 名義財産の実務 第1回 名義財産の帰属の考え方

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁

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はじめに

今回から数回にわたり、事例を取り上げながら相続税・贈与税における財産の帰属認定について検討を行います。

相続財産の帰属認定で最も問題となるのは名義財産(預貯金、株式等)の帰属です。例えば、A名義の財産は名義人であるAに帰属するものとの事実上の推定が働きますが、名義人以外に帰属すると判断されるのはどのような場合か、すなわち、被相続人以外(妻、子など)の名義となっている財産が被相続人の財産と認定されるにはどのような要素から認定すべきなのかということです。

国税庁の「相続税の申告のしかた(平成4年分用)」4頁には、「名義にかかわらず、被相続人が取得等のための資金を拠出していたことなどから被相続人...