※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

法人税 法人税重要事例検討:令和の判例・裁決例―7

 税理士 古川 浩二

( 86頁)

先月 に引き続き、法人税の実務において重要、かつ、誤りやすいと思われる事例について検討します。

今月は「収益の帰属」について取り上げます。

Q1 実質的な所得者が問われた事例

当社(以下「A社」といいます。)は、不動産の売買、賃貸借、管理、仲介等の取引に関する業務等を目的とする3月決算法人です。当社の代表取締役は甲が務めています。また、当社は、宅地建物取引業の許可を受けています。

当社は、平成28年8月31日においてC社の発行済株式の全てを取得しました。それに伴い、甲はC社の取締役に就任しました。

C社は、平成15年5月10日に不動産業等を目的として設立された法人です。C社の代表取締役は甲の知人である乙が...