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特集 みなし贈与の基礎と実務

 税理士 若山 寿裕

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はじめに

みなし贈与は、民法上の贈与契約によらずして何らかの利益を受けた個人に対して、課税の公平の見地から、相続税法上の規定により贈与税を課税するものです。すなわち、当事者間が贈与の関係を意図していない場合であっても、その取引により生じた利益に着目して贈与税の課税を強いられることになり、比較的大きな金額の課税となることもあります。

本稿では、まず「みなし贈与」の理解の前提となる贈与税の課税趣旨について、民法上の贈与との違いを踏まえて解説しています(Ⅰ)。続いて、みなし贈与となる主な取引について、その概要を確認し、実務上、特に注目度の高い「低額譲受」(相法7)や「その他の利益の享受」(相法9)に関し...