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税金裁判の動向【今月のポイント】第245回 販売目的で購入した中古の賃貸住宅用マンションの課税仕入れにおける用途区分(最高裁判決)

立命館大学法学部 教授 安井 栄二

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令和2年度税制改正によって、賃貸住宅用マンション取得についての課税仕入れに係る消費税額は、いったん仕入税額控除の対象から外されることになりました( 消法30 ⑩)。ただし、当該課税仕入れの日から第三年度の課税期間の末日までの間に当該マンションを譲渡した場合には、仕入れに係る消費税額のうち、当該マンションから生じた課税売上げの割合に対応する部分を仕入税額控除の対象とすることができます( 消法35の2 ②)。

この改正以前は、このようなマンション取得についての課税仕入れの用途区分が問題となっていました。この点が争われた事案について、本連載で、東京地判(第215回、2021年1月号)や東京高判(第227回、2...