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税金裁判の動向【今月のポイント】第246回 必要な事情聴取や調査結果の説明を実施せずになされた課税処分の効力
香川大学法学部 教授 青木 丈
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平成23年12月の税制改正によって国税通則法に一連の税務調査手続にかかる規定が整備されました。しかし、この改正後においても、法定された手続に何らかの瑕疵があった場合の課税処分に与える影響については、従来の裁判所の厳格な解釈は変更されてきませんでした。今回は、結果的に納税者は敗訴したものの、裁判所がかかる解釈を明確に変更した事例をご紹介しましょう。
事案の概要
K国税局及びU税務署の本件調査担当職員は、平成29年9月19日、X社(原告、控訴人)に対する本件調査を開始しました。
本件調査の終盤に至る平成30年4月26日、本件調査担当職員は、X社の事務所に調査結果の説明をするために臨場し、本件代表者、及び...