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事例からみる 名義財産の実務 第8回(最終回) 名義財産への重加算税賦課に係る事例検討

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁

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前回 に続き、他人名義財産を除外して相続税の申告を行い、後にそれが否認された場合、どのような場合に重加算税が賦課されるのかという点に関し、主な事例をみて検証していきます。

1 名義財産における事例

(1)大阪地裁平成23年12月16日判決・税資261号-246(順号11836)

本事例は、無記名債券及び親族名義預金についての隠ぺい仮装行為の有無が問題となったものです。裁判所は、次のとおり判示しました。

「本件親族名義預金はいずれも亡戊(被相続人)の相続財産であると認められるところ、亡戊は、本件親族名義預金を自ら開設し、その管理運用を行っていたこと、本件無記名債券に関して、相続税の課税負担を極力避けようと...