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税金裁判の動向【今月のポイント】第250回 通常の維持管理がされていない家屋に係る固定資産評価上の適正な時価

青山学院大学法学部 准教授 道下 知子

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近年、使用者がおらず、管理されないまま放置されている空き家が増加していますが、こうした空き家等の固定資産税評価において、評価額が適正な時価を上回るか否かが争われた事例が増えています。

そもそも固定資産税の課税標準は固定資産の価格( 地法349 )であり、その価格は「適正な時価」であると定められており( 同法341 五)、課税実務では「客観的な交換価値すなわち独立当事者間の自由な取引において成立すべき価格」とされています。

この時価を求める具体的方法は、総務大臣が固定資産税評価基準を定めて告知し( 同法388 ①)、その評価基準によって、市町村長が固定資産の価格を決定します( 同法403 ①)。

今回は、長い間使用さ...