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税金裁判の動向【今月のポイント】第252回 2事業年度連続の期限後申告による青色申告承認取消処分の理由付記

香川大学法学部 教授 青木 丈

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法人税を2事業年度連続で期限後申告すると、国税庁の事務運営指針の定めにより、原則として、青色申告承認取消処分がなされることになっています。この場合の理由付記は、その取消しの処分の基因となった事実が 法人税法127条 1項各号のいずれに該当するかを付記しなければならないとされています( 法法127 ②後段)。しかし、この内容だけでは、2事業年度連続して期限内に申告されなかったという重要な事情が分かりません。こういった、課税庁が処分を行うに当たって考慮した事実を理由付記に記載する必要はないのでしょうか。

今回は、この点が争われた事例をご紹介しましょう。

事案の概要

X社(原告・控訴人)の税務代理人であった本件税...