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相続税 《特別寄稿》財産評価基本通達6の実務論点
税理士 笹岡 宏保
( 100頁)
はじめに
令和6年1月18日に東京地方裁判所で財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)6(この通達の定めにより難い場合の評価)の定めを適用することの是非が争点とされた事例に係る判決が下されました。
当該事例は、取引相場のない株式の発行会社をM&Aにより売却しようと相手方と交渉していたオーナー社長にその交渉中(株式の売却予定価格として法的拘束力を有しない基本合意価格の合意はされていたものの、正式な売買契約は未締結の段階)、相続開始があった場合の当該株式の価額(相続税評価額)を評価通達に定める取引相場のない株式の評価方法を適用(この場合、類似業種比準価額によることになり、原告はこれを主張してい...