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[全文公開] 国外財産調書と納税管理人

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国外財産調書制度とは,その年の12月31日に保有する海外資産の合計額が5,000万円超となる非永住者以外の居住者に国外財産調書を申告してもらうもの。翌年の3月15日までに所轄税務署長に提出しなければならない。ただ,提出義務者に該当しても,提出期限である翌年の3月15日までに海外勤務などで“出国”する場合で,納税管理人の定めがないときには,提出は必要ないこととされている。

同制度における“出国”とは,所得税法上に規定されるもので,納税管理人を定めずに出国したときに提出不要とされている(国外送金等調書法5①ただし書)。あくまでも納税管理人の定めがない場合に適用されることになっており,国内にある家の賃貸料などの不動産所得が一定額以上あるなど,確定申告書の提出,税務署等からの書類の受取り,税金の納付や還付金の受取り等,納税義務を果たすためには納税管理人を定めなければならない( 通法117 )。また,数か月で帰国することが明らかな場合には,たとえ,納税管理人を定めていなくても所得税法上の“出国”には当たらないため,同書を提出する必要があるという。

ちなみに,国外財産調書に記載する財産とは,“国外にある財産”とされている。国外にあるか否かの判定は財産の種類ごとに行うこととされており,財産の所在,その財産の受入れをした営業所又は事業所の所在などによる。

例えば,「不動産や動産」はその不動産又は動産の所在,「預金や貯金等」はその預金等の受入れをした営業所等の所在という考え方だ。「財産の所在の判定表」(国税庁「国外財産調書の提出制度FAQ」6頁参照)を用いることで,その年の12月31日において保有する各財産が国外にあるかどうかの判定ができるので参考にするといいだろう。