Q&Aコーナー 気になる論点(130) 概念フレームワークにおける測定(2)

‐公正価値測定の範囲‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

( 32頁)

国際会計基準審議会(IASB)では,概念フレームワークを見直すための審議を続けています。資産・負債を,現在価額ベースの測定値ではなく原価ベースの測定値で行えば,減価償却などの規則的な配分以外は,認識の中止まで当期純利益に反映しないことになるのでしょうか。

いいえ,必ずしもそうではありません。例えば,測定値 が変更された場合や,会計上の見積りの変更があった場合など測定値の前提が変更されたときに,その変更前後の差額を当期純利益に反映することが考えられます。もっとも,測定値の議論はともかく,概念フレームワークでは,どのような場合に測定値が変更されたとみるか,測定値の前提が変更された場合にどう取り扱うかまでは必ずしも示さないことも考えられます。この場合には,「書かれていない」考え方が,より重要になります。

<解説>

測定値の分類(1)‐IASBの議論

IASBが2013年7月に公表したディスカッション・ペーパー(DP)「財務報告に関する概念フレームワークの見直し」では,測定値を,「原価ベースの測定値」「現在市場価格(公正価値を含む)」「他のキャッシュフロー(CF)を基礎とした測定値」の3つのグループに...