金融会計の論点シリーズNo.7 金融リスク管理とヘッジ会計(上)

フジタ国際会計コンサルティング(株) 代表 藤田敬司

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はじめに:ヘッジ会計はデリバティブのオンバランス化と同時に始まった

為替市場における円建て取引の割合は,日本からの輸出で40%,輸入では20%台に止まり,国際通貨の一つである円の為替安定性にも限界がある。また地下資源に恵まれず食糧自給率の低いわが国は,価格変動が激しい国際相場商品の輸入に頼らざるを得ない。こうした環境に対応する企業にとって為替予約や先物市場を使うヘッジ活動は不可欠である。

そのようなヘッジ活動に係る本格的な会計基準は,米国FASBによるSFAS133号(1998)から始まった。わが国のヘッジ会計もそうであったが,SFAS133号の名称「デリバティブとヘッジ活動の会計」が示すように,デリバティブのオンバランス化と同時に始まった。

ヘッジ会計を良く理解するには,まずもって企業のヘッジ活動(金融リスク管理)とデリバティブの基本を押さえることが必要かつ有益であると思われる。なおここで検討するヘッジ活動は,主に非金融企業において頻繁に使われるドル・円為替相場,金利変動及び国際商品(コモディティ)相場変動に係るリスク管理に限定する。

ヘッジ活動の基本動作

金融リスクを回避または軽減するため...