スペシャル・インタビュー 国際会計士倫理基準委員会(IESBA)議長Stavros Thomadakis氏およびテクニカルディレクターKen Siong氏
国際会計士倫理基準審議会(IESBA)は,国際会計士連盟(IFAC)の独立した基準設定審議会の1つで,会計士のための国際的な倫理規程を策定する審議会である。日本公認会計士協会など,IFACに加盟する団体は,IESBAで策定された倫理規程の遵守が義務付けられている。
本誌では, IESBAのStavros Thomadakis議長とテクニカルディレクターのKen Siong氏の来日に際し,IESBAのボードメンバーである加藤 厚氏をインタビュアーとして,様々な角度からお話を伺った。
はじめに
加藤氏 まず,IESBAが現在進めている「違法行為への対応」や「監査クライアントへの長期的関与」,「倫理規程におけるセーフガードの見直し」などのプロジェクトはどういうものか,簡単に教えて頂けますか。
Thomadakis氏 それぞれのプロジェクトが,会計士の信頼を高める上でも非常に重要なものです。今後2年間のうちに,より使いやすい新たな構成や記載方法による倫理規程を作り直し,全世界の会計士にとって有益なツールとなることを期待しています。
Siong氏 「違法行為への対応」基準は,IESBAが6年間手掛けているプロジェクトです。監査人や企業等で働く会計士が違法行為が行われていると疑った場合には,公共の利益を守るという責任を果たすことを確保することが目標です。
「監査クライアントへの長期的関与」は,現在の規程ですと監査業務を行う筆頭業務執行社員は同じクライアントに7年の関与後,2年のクーリングオフ期間(関与できない期間)が設けられていますが,これだと通算16年のうち14年間も,同じクライアントを担当し続けることができることになり,監査人の独立性に関する信頼性の確保に懸念があります。そこで,このプロジェクトでは,社会的影響度の高い事業体(PIE)を担当する筆頭業務執行社員に関しては,クーリングオフ期間を5年に延長することが検討されています。
「倫理規程におけるセーフガードの見直し」は,倫理規程全体に関わるものですが,最終的には最近改正された非保証サービスに関連するセーフガードの規程を改訂するものです。概念的枠組みアプローチに...
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