Q&Aコーナー 気になる論点(161) IFRSと米国基準(4)

-収益認識基準の改正-

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は,それぞれ2014年に公表した収益認識基準を改正し,売上金額の測定について,今般,見直したとのことですが,その取扱いはコンバージェンスされたのでしょうか。

IASBとFASBは,企業が本人か代理人かの判断,したがって,収益を総額表示か純額表示かについて,2016年に収益認識基準を同様に改正しているため,実質的に差はありません。しかし,売上税のように,第三者に代わって回収する金額を除く点については,FASBだけが,特定の収益生成取引に課され,それと同時に発生し,顧客から回収されるすべての税金を,取引価格の測定から除外することを会計方針の選択として認める改正を行ったため,相違が生じ得ることとなります。

<解説>

収益認識基準の見直し(1)‐IASBとFASB

IASBとFASBは,共同して収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行い,2014年5月に,以下の会計基準として,「顧客との契約から生じる収益」を公表しています。

(1) IASBは,IFRS第15号

(2) FASBは,会計基準更新書(ASU)第2014-09号によるTo...