グループ会計の論点シリーズNo.7 のれんと無形資産(Ⅰ)
フジタ国際会計コンサルティング(株) 代表 藤田敬司
はじめに
当シリーズでは No.4 (本誌No.3265), No.5 (本誌No.3268), No.6 (本誌No.3271)にかけて,グループ形成に係る会計手法がパーチェス法から取得法へと進化してきた過程を振り返り,それは対価と純資産の差額である「のれん」から贅肉を削ぎ落とし筋肉質に変化させる過程であったことが明らかとなった。今回は「のれん」を分析し,企業結合会計の一つの山場となる「のれんと無形資産」の会計に入る。
1.のれんの計算式
M&Aはある企業を支配できる持分を,対価を以て取得する交換取引である。売り手はバランスシート上の純資産の公正価値(FV)を上回る金額で売ろうとする。ターゲット企業に超過収益力を見出し,これを是非とも入手したい買い手は,純資産のFVを上回る対価を払うことに決してやぶさかではない。
シリーズNo.4で使った設例を再度使うと,被取得企業の純資産の公正価値FVを$510,000,これを取得するための対価のFVを$610,000と想定すれば,のれん金額は双方の差額:$100,000となる。のれんとは「純資産のFVを上回る対価部分」である。ところが,SFAS141R(34)やIF...
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