いまさらきけない会計基準等と実務のポイント 第14回 設備資産の処分等の意思決定に係る会計処理

新日本有限責任監査法人 公認会計士 西村 強

( 44頁)

1.はじめに

各種機関の市場動向調査から2017年は国内設備投資が大きく上昇すると予想されています。新規の設備投資の意思決定には,既存設備の処分等の意思決定が裏表の関係で隠れているケースが多くあります。そこで今回は,設備資産の処分等の意思決定に係る会計処理に関してみてみたいと思います。

一般に,設備資産の処分等の意思決定をする際には,固定資産の減損会計と処分時点までの期間に減価償却計算上の耐用年数を見直す処理の2つの会計処理を考慮する必要があります。この2つの会計処理の基準適用の優先順位,相互の整合性といった「いまさらきけない」関係性に焦点をあて,設例をもとに解説していきます。

今回の「いまさらきけない」ポイント
■設備資産の処分等の意思決定
⇒「減損会計」と「耐用年数の短縮」の2つの会計処理を考慮する必要あり。
両会計処理適用の優先順位は? 相互の整合性は?

2.設例で理解する「減損会計」と「耐用年数の短縮」の関係性

2つの会計処理の関係性を解説するうえで,将来に設備資産を処分するような意思決定をしたケースを用いて両者の関係を説明していきたいと思います。

【設例】生産設備の処分を決定したものの処分が将...