収益認識基準公開草案の検討 財務諸表作成者の問題意識と実務対応 File06 電気事業連合会

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企業会計基準委員会(ASBJ)が7月20日に公表した企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」等の内容について,財務諸表作成者に話を聞く本シリーズ。コメント提出は10月20日で締め切られ,ASBJは来年3月までの基準化に向けて審議を再開した。今回は,収益認識時点について「検針日基準」を代替的な取扱いとして認めてほしい,とのコメントを提出した電気事業連合会を取材。本誌は同会に質問書を送付し,11月30日に同業務部から文書で回答を得た。

1.公開草案について

――今回の公開草案について,全体的な評価をお聞かせください。

公開草案は,IFRS15号の基本的な原則を取り入れることを出発点として,これまで我が国で行われてきた実務等に配慮すべき項目がある場合については,比較可能性を損なわせない範囲で代替的な取扱いを追加することとされており,こうした考えについては弊会としても理解・同意しております。

――公開草案の内容や規定(文章)は企業の実務家にとって理解しやすく,読みやすいものになっていますか。草案は英文の翻訳・組替えであるため,日本語としての可読性を懸念する声もあります。

公開草案の内容・規定の,日本語としての可読性は問題ありませんが,IFRS15号の内容を忠実に反映していることから,これまで公表された会計基準に比べて,用語や言葉の使い方に目新しいものが多いと感じています。

あらゆる収益認識が本基準にて規定されていることもあり,条文によっては実務への適用がイメージしづらいものがあると思われますので,各種セミナーや書籍等により,深い理解が得られる場が多く設けられることを期待しております。

2.業界特有の論点

――業界として特に強い懸念をお持ちの項目等についてお聞かせください。

【概要】

電気事業においては,毎月の検針日に収益認識を行っております。収益認識に関する会計基準の適用後においてもこの取扱いを継続できるよう,適用指針において「代替的な取扱い」として規定いただくなどの措置を講じていただきたいと考えており,10月20日にその旨のコメントを提出いたしました。

【電気事業における収益認識の実務と新基準適用による懸念事項】

財務諸表等規則第2条において,「別記に掲げる事業を営む者は,当該事業の所管官庁が定める別記事業会計規則等の定めによる」旨が規定されております。電気事業についても,...