厳選!現場からの緊急相談Q&A 第50回 減損会計の留意点①

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 佐瀬 剛

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経理部員 :当社では,減損の兆候の把握や,事業撤退の意思決定を行った場合の減損会計の適用を検討する際に悩むことが多いです。
会計士 :今回は減損会計の具体的な留意点について取り上げます。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

固定資産の減損とは,資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態であり,減損処理とは,そのような場合に,一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理です(企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(以下「減損意見書」という。)三3.)。

固定資産の減損処理は,企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損適用指針」という。)の定めに従うものとされていますが,多種多様な事業を営むそれぞれの企業が,当該企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて将来キャッシュ・フローを見積ることとするなど,その程度や判断を一...