ハーフタイム 経済実態重視と現場主義による管理会計の再構築

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「顧客との契約から生じる収益」IFRS15を適用するには,契約の識別から履行義務の充足に至るまで,取引の法形式よりも経済実態重視へ転換する必要がある。その場合,ボトムアップ式の内部統制のほうがリスク管理にも有効であり,そのような実態判断と牽制機能はビジネス現場にいる経理マンの管理会計に委ねられるべきものだ。

ただ,経理コスト削減のために,簡単な業態の子会社経理業務を外注に切り換えるとか,地域統括会社への集中管理に切り替えた企業にあってはビジネスの現場に派遣・駐在する経理マンの数は減少している。デジタル機能を駆使すればある程度までカバーできよう。だが,リスクのないビジネスはあり得ず,実態把握やリスク管理を手抜きすれば不確実性に迅速に対応できず,業容を拡大できず,したがって業績もじり貧に陥るのは必然だ。もちろん,現場の経理マンには実態判断力と本部との連携プレー,さらには誇りと実行力が求められ,トップダウンからボトムアップ式内部統制への組織転換が必要となる。

さて,企業会計を大雑把に区分すれば,企業外部の利害関係者(株主・債権者など)に経済情報を提供するのが財務会計,企業内部の経営管理者に経済情...