〈緊急インタビュー〉日本内部統制研究学会 橋本 尚会長
<編集部より> 日本内部統制研究学会が7月13日に臨時会員総会を開催し、学会の名称を「日本ガバナンス研究学会」に変更した。日本に内部統制報告制度及び監査制度が導入されて十数年が経過し、両制度が定着する中、今なぜ学会の名称を変更したのか。本誌では、金融庁企業会計審議会の内部統制部会長も務める橋本尚会長に緊急インタビューを行い、名称変更の経緯・趣旨等を伺うとともに、現状の内部統制報告制度の問題点と今後の改正の方向性などについても語っていただいた。 |
1.学会の名称変更と今後の展望
─学会の名称を「日本ガバナンス研究学会」に変更された経緯・趣旨を教えてください。
内部統制は、会社法や金融商品取引法における制度要請のみならず、2021年6月改訂のコーポレートガバナンス・コードにおいては、先を見越した全社的リスクマネジメント(ERM)体制の整備とともに、経営陣による適切なコンプライアンスの確保とリスクテイクを支える仕組みとして、有効なガバナンスの重要な基盤をなすものと捉えられています。
このように近年では、ガバナンス、ERMおよび内部統制を三位一体のものとして捉える考え方の下に、健全な組織経営の要である内部統制をめぐる議論をより広範な視点から俯瞰的に捉えることが必要であるとの認識が広がっています。と同時に、近年の本学会の関心領域は、財務報告と非財務報告、外部報告と内部報告を包含する視点や非営利組織へのガバナンス、ERMおよび内部統制の展開など、概念的な広がりをみせています。また、公益法人、学校法人、医療法人をはじめとする非営利組織のガバナンスに関しては、社会の目の厳しさが増しており、研究テーマの重要性も高まっています。環境・社会・ガバナンス(ESG)の3つの観点から経営や投資のあり方を探究することも重要な課題です。さらには、人工知能(AI)に代表されるテクノロジーの進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が内部統制に及ぼす影響についても関心が高まっています。
もともと本学会の関心領域は、設立当初から内部統制に限定されるものではなく、会員資格は、内部統制、コーポレート・ガバナンスおよびリスク管理等に関心をもつ研究者や実務家に広く開かれたものでありました。そこで、2007年12月8日の設立から約15年を経過した今日、本学会の名称や目的をより広範か...
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