2022年3月期における収益認識会計基準の適用の影響の分析
公認会計士 山田 善隆
Ⅰ.はじめに
企業会計基準第29号「 収益認識に関する会計基準 」(以下、「収益認識会計基準」という)は、最近に適用開始となった会計基準のなかでは広範な影響を与えた会計基準のひとつと考えられるが、その実際の影響はどのようなものだったのか。
そのような疑問に応えるために、本稿では特に3月決算上場企業における収益認識会計基準の適用の影響について概観を示すことを試みたい。
なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。
Ⅱ.分析対象企業
本分析では、2022年3月末を期末日とする連結財務諸表(日本基準)を含む有価証券報告書を提出した企業のうち、連結財務諸表の会計方針の変更注記に収益認識会計基準の適用に関する記載を行った企業(33業種、1,900社)を対象とした。
Ⅲ.財務上の影響
分析対象企業の会計方針の変更注記等から読み取れる営業収益①、税金等調整前当期純利益及び期首利益剰余金に対する影響を集計したものが【図表1】である。なお、純額指標である税金等調整前当期純利益及び期首利益剰余金の増減率は分母がゼロに近くなると極端に大きな値をとり、統計を歪めることから、これらの指標に与えた影響も...
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