通算税効果額を授受しない旨の開示

グループ通算制度の実務対応報告の原則適用
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実務対応報告第42号「 グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い 」(2021年8月公表)は、「通算税効果額」の授受を行うことを前提としている。ただし、通算税効果額の授受は税務上、任意とされており、企業が授受を行わないことを選択する場合もある。ここでは、実務対応報告が原則適用される2023年3月期において、通算税効果額の授受を行わないことを選択した事例を紹介する。

通算税効果額を授受しない場合とは

実務対応報告第42号は、2022年4月1日以後に開始する連結会計(事業)年度の期首から原則適用が始まった。

同実務対応報告は、通算税効果額(損益通算や繰越欠損金の通算などの法人税法上の規定の適用による税額の減少額で、通算会社間で授受される金額)の授受を行うことを前提として会計処理・開示を定めており、授受を行わない場合の取扱いは定めていない。そのため、授受を行わない場合は、「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(第4-3項)の「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合」に該当し、重要な場合には注記することになる。ただし、連結上は授受してもしなくても連結内取...