新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第15回 ヘッジ会計に関する実務上の論点

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 久保 慎悟

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昨今、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢などにより、金利、為替、原材料価格などが大きく変動しています。このような金利、為替、原材料価格などの大きな変動は、企業の業績にも大きな影響を与えることがあり、企業においては、これらの変動への対応が課題となっているとも聞いています。このため、金利、為替、原材料価格の大きな変動による企業業績への影響を緩和することを目的として、従来、ヘッジ取引を行っていなかった企業においても、ヘッジ取引を実施することやヘッジ取引の実施を検討することが多くなっています。

一方で、企業が行うヘッジ取引の効果を業績に反映させるためにはヘッジ会計を適用することが考えられますが、様々な要件の充足を必要とするヘッジ会計の適用は容易とは言えません。

そこで、今回は、ヘッジ取引の実施を予定している企業がヘッジ会計を適用する際に生じ得る疑問のうち、会計基準における定めを読み解くことが少し難解、又は判断を要するものについて、論点を整理し考察します。

なお、本稿の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことを予め申し上げます。

Q1

変動金利(ド...