内部統制報告制度の改正を踏まえた実務対応 第3回 経営者による内部統制の評価範囲の決定
有限責任 あずさ監査法人 公認会計士 福原 崇二
( 22頁)
はじめに
本連載は2024年4月1日以降適用される内部統制報告制度の改正を踏まえた実務上の対応について解説しています。第3回となる本稿では、経営者による内部統制の評価範囲の決定に関連する改正のポイントと実務上の留意点について解説していきます。文中の意見に係る部分は、筆者の私見であり、筆者の所属する法人の見解ではないことを予めお断りします。
1.内部統制の評価範囲の決定に関連する改正のポイント
金融商品取引法による内部統制報告制度の導入は、財務報告の信頼性の向上に一定の効果があったと考えられます。一方で、経営者による内部統制の評価範囲の外で開示すべき重要な不備が明らかになる事例や、内部統制の有効性の評価が訂正される際に十分な理由の開示がない事例が一定程度見受けられます。このため、経営者が内部統制の評価範囲の検討に当たって財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を適切に考慮していないのではないか等の内部統制報告制度の実効性に関する懸念が指摘されています①。そして、その原因の一つとして、評価範囲について、企業が選定基準の定量的な例示に偏重して評価範囲を決定し、リスクの高い対象を含めることができていない...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします