暗号資産 はじめの一歩 第3回(最終回) Web3に関する会計・監査の現状と課題

 公認会計士・税理士 畠山 謙人

( 30頁)

はじめに

第1回( No.3628・32頁 )ではブロックチェーンや暗号資産の概要について、第2回( No.3630・24頁 )では暗号資産の会計上の取り扱いや開示事例について述べてきました。最終回である第3回では範囲をWeb3に広げ、会計・監査の観点から現状や課題について説明します。Web3については、会計基準の整備が追い付いておらず、それに付随し監査対応も困難な状況にあると言えます。今後の発展のためにも、読者の皆さんにWeb3が置かれた現在地を知っていただければと思います。

1.Web3とは

Web3(またはWeb 3.0)は、現在我々が使っているインターネット(Web2またはWeb2.0)の次のステージを示す用語です。

Web3は、データやサービスが一つの中央集権的な組織やサーバーに依存するのではなく、分散化されたネットワーク上で直接共有される、新たなインターネットの形を目指しています。

Web2では、FacebookやGoogle、Amazonなどの大企業がユーザーのデータを制御し、そのデータを利用して自社の利益を増やすビジネスモデルが一般的です。しかし、Web3の世界では、ユーザー自身が自分の...