役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<217> 慰労金議案を付議すべきか否か(2)
弁護士 小林公明
前回(本誌No.3631参照)は、退任取締役の問題行動の有無及びその内容並びに内規所定の減額不支給条項該当性についての事前調査及び事前取締役会決議を先行すべき旨を述べた。
今回は、その順序を逆にする型、すなわち総会の慰労金議案の可決決議を先行させ、その後の事後調査及び事後取締役会決議に慰労金支給の決着を委ねる方法を採った場合に生ずるいくつかの問題点につき、その型を採用した事案に関する最近の裁判例(宮崎地判令3.11.10判例秘書L07651384、以下「1審」、その控訴審判決福岡高宮崎支判令4.7.6判例秘書L07720230、以下「控訴審」)を参考に述べる。
6 裁判例
(1)事件の内容と結果
1審によると、事件の内容と結果の概要は、以下のとおりである。
原告は、後記のような特別減額条項を含む慰労金内規(以下「本件内規」)を有する会社の代表取締役社長を退任した者、被告は、当該会社及びその現代表取締役社長(原告の後任)であり、平成29年6月16日開催の本件総会で後記のような本件慰労金議案が承認可決され(以下「本件株主総会決議」)、その後同日開催の取締役会で、当該慰労金につき、専門家による調査委員...
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