内部統制報告制度の改正を踏まえた実務対応 第4回 監査基準報告書600の改正による影響

有限責任 あずさ監査法人 公認会計士 相原 尚希

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はじめに

本連載は2024年4月1日以降適用される内部統制報告制度の改正を踏まえた実務上の対応について解説しています。第4回となる本稿では、2023年1月に改正された監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」(以下「改正監基報600」といいます。)が内部統制監査に与える影響について解説していきます。なお、本稿における意見に係る部分は、執筆者の私見に基づくものであり、執筆者が所属する法人の公式見解ではないことをお断りします。

1.改正監基報600の概要

監基報600は、構成単位の監査人が関与する状況を含む、グループ財務諸表の監査(以下「グループ監査」といいます。)に関して、特に考慮すべき事項を中心に実務上の指針を提供しているものです。なお、監基報600において定義されている「グループ監査」とは、「複数の企業又は事業単位の財務情報を含むグループ財務諸表に対する監査」のことであり、例えば連結財務諸表に対する監査が該当します。また、「構成単位」とは、「グループ監査における監査手続の計画及び実施を目的として、グループ監査人により決定される企業、事業単位、機能若しくは事業活動又はそれらの...