<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第99回 概念フレームワーク(15)

―財務諸表の構成要素―

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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生命の基本設計図

DNAは生命の基本設計図であると言われている。人間の体は約60兆個の細胞でできているが、このひとつひとつにDNAがあり、細胞はこのDNAが持っている情報にもとづいて、それぞれの場所にふさわしい形と働きをしているとされる。

ところで、生物は新陳代謝を行うことによって若さを保っている。人間の場合、新陳代謝によって、3カ月経過すると、ほぼすべての細胞が入れ替わると言われている。しかし、3カ月経過して、その人が全く別人になってしまうわけではない。それは、各細胞にDNAという基本設計図があり、そのDNAに基づいて正確に同じ細胞を再生することにより、前の細胞を継続する形での新陳代謝が可能になり、人は何十年も同じひとりの人間として生き続けることができるのである。

大量の放射線を被ばくすると、DNAが崩壊し同じ細胞を再生することができなくなる。このため放射線被ばくは重篤な結果に繋がる。それほど、生命の基本設計図であるDNAは重要なのである。

会計基準の基本設計図

会計基準についても同じことが言える。IFRS会計基準の場合、2023年12月現在で有効な会計基準の数は、解釈指針も含めると61である...