新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第19回 DX環境下でのソフトウェア会計の実務

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 青野 智

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昨今のデジタルトランスフォーメーション(DX)化の潮流にて、IT産業の企業のみでなく、多くの日本企業でシステム投資を拡大しており、IT投資、特にクラウドサービスの会計処理は企業の財務数値に大きな影響を与えることがあります。一方、現行の日本の会計基準においては、クラウドサービスに係る明確な会計基準は存在せず、公表されている「研究開発費等に係る会計基準」等を参照しつつ、幅のある会計実務が見られます。今回は、2022年6月に日本公認会計士協会が公表した、会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(以下「本研究資料」という。)も踏まえ、ベンダー側、ユーザー側それぞれの視点から、クラウドサービスを含めたソフトウェアに係る会計処理を取り上げます。なお、本研究資料内でも述べられていますとおり、本研究資料はあくまで一つの考え方を示しているのみであり、会計基準のような規範、経理実務を拘束するものでない点、また、本稿中の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないこ...