会計知識録 第32回 間接費の配賦方法が経営意思決定に与える影響とは?

 公認会計士 溝口 聖規

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はじめに

皆さんの会社の中に複数の部門に共通して発生する人件費や水道光熱費がある場合、それらの費用をそれぞれの部門へ配分すべきでしょうか?また、配分する場合、どのような方法で配分するのが適切でしょうか?

複数の製品や部門に共通して発生する費用を共通費や間接費と言います(本稿では間接費と言います)。間接費を製品や部門等へどのように配分するかは、経営意思決定にも影響する重大な問題です。今回は、間接費の配分方法について、設例を使いながら解説したいと思います。

間接費とは

会社は利益を継続的に計上することが求められます。利益を計上するには売上と費用を管理する必要がありますが、外部要因に影響されやすい売上よりも相対的に内部要因が大きい費用を厳格に管理する方が、効果的に利益を計上することができます。

費用の管理において、様々な費用を個々に管理するよりも費用を性質に応じてグループとして管理する方が効率的です。費用のグルーピングの一つに、直接費と間接費の区分があります。直接費は、特定の製品等の製造や販売に直接的に関係する費用です。一方、間接費は、特定の製品やサービスに間接的に関係する費用です。パソコンを例にとる...