<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第103回 概念フレームワーク(19)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
オー・ヘンリーの短編小説
オー・ヘンリー(1862‐1910)は短編小説の天才である。中学の教科書に掲載されている短編小説もあるので、どれか1つは読んだことがあるという人も多いと思う。たとえば、貧しい夫婦がクリスマスに、相手に贈り物をしようとして、互いを思うあまりにすれ違いになる「賢者の贈り物」や、病気になった少年が、窓越しに見える壁のつたの葉の最後の一葉が散れば自分も死ぬと思いこむ「最後の一葉」など、短いストーリーの中に濃密なドラマがあり、考えさせられるものが多い。
その中でも特に筆者の印象に残っているのが「二十年後」という短編小説である。その小説は、ニューヨークで育った幼馴染のジミーとボブという2人の少年の物語である。ボブという少年が一山当てようと西部に旅立つ際に、2人は、きっかり20年後の同じ日同じ時間に同じ場所で再会しようと約束する。その時にお互いがどんな立場になっていようと、どんなに遠く離れていようと必ずまた会おうと約束する。ボブは約束通り20年後の同じ日に同じ場所に来て、ジミーのことだから生きている限り必ずここに来ると信じてジミーを待つ。その先はネタバレになるので割愛するが、思...
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