Q&Aコーナー 気になる論点(357) FASBの測定に関する概念フレームワーク案(2)

‐公正価値による測定‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 米国財務会計基準審議会(FASB)が2023年12月21日に公表した財務会計概念書(SFAC)案第8号「財務報告のための概念フレームワーク:第6章 測定」(SFAC案)は、どのような場合に公正価値による測定を提案しているのでしょうか。

SFAC案では、企業が同じ資産・負債に対して同じ出口価格を持っている場合、出口価格系の公正価値が、よりレリバントな測定をもたらす可能性が高いとすることを提案しています。

〈解説〉

SFAC案(1)‐2つの測定体系

SFAC案では、以下で示す入口価格系と出口価格系の2つの測定体系があり、各報告日の測定に関して、それらを選択することを提案しています(M7項‐M8項)。

(1)入口価格系では、当初の入口価格(原価)が償却や増価によって体系的に配分され(M10項)、それは、入口価格や出口価格に近似させるためではなく、入口価格の一部を各期の収益・費用に配分することを目的とした調整である(M11項)。

(2)出口価格系では、資産・負債が、市場参加者の価値(公正価値)や、企業が資産の売却によって受け取る又は負債の移転・決済のために支払う企業固有の価値で記録され、取得後の最初...