企業に求められるサステナビリティ・ガバナンスに関する基本的な取組み

ISSB基準を参照して考えるサステナビリティ・ガバナンスの要諦

 弁護士 遠藤 元一

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1 企業経営の中核に据えられたサステナビリティ・ガバナンス

企業のビジネスモデルが持続可能であるためには、社会・経済や環境が良好で持続的(サステナブル)であることが前提条件である。グローバル市場全体に幅広く分散投資を行う年金基金等のアセットオーナーや国家・機関等による気候変動その他の社会・経済・環境に関する規制に対し、企業は、ビジネスチャンス、サステナブルにかかる価値、政策との歩調あわせ(強化される規制、コスト高騰などへのレジリエンス)、市場安定性(市場の維持創出)等の動機から、ESG、SDGsに関して推進主体となり、自社だけでなく、自社の社員、取引先、地域等の多様な利害関係者との関係も持続的に維持・確保するため、企業自らが社会・経済や環境の持続可能性を熟慮し、それに貢献できる施策を講じていくことが問われるようになっている

2021年6月に公表されたコーポレートガバナンス・コード再改訂版(以下「CGコード」という)の基本原則2、3を始め、また、投資家と企業の対話ガイドライン改訂版(以下「対話ガイドライン」という)の1-3とで、サステナビリティ課題に関する記載が大幅に充実化され、ソフトロ...